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2006年4月 2日 (日)

最大級の尊敬

Dsc00918 この更新が終わった後、もうひとつの方も更新しようと思います。時間は深夜かもしれませんが……。見計らってみていただけると嬉しいです。大したモンは書けませんが。

 本日は、ついに遂にの安部公房。ホントはもっとキリの良い記事の時に書こうと思っていましたが、文章に対する気持ちの昂ぶりや、時間が少しとれたので、書こうかなと。

 何度も言っているように、僕の中には三大日本作家が。村上春樹、宮部みゆき、そして安部公房。……中でも、安部公房は頂点です。文学、文章の世界において、誰よりも尊敬し、多くを吸収しました。

 何処が凄いのか、と問われれば、なんとも難しいです。文体や、テーマ、創作への姿勢、創作の進む道、挙げれば終わらないほどに、安部公房は僕に衝撃を与えました。

 初めて読んだのは、確か中学生の頃。安部公房だとか、文学だとかは全く知らず、何気なく読んだ「笑う月」。なんでそこからなのかはホトホト疑問ですが、それが初公房。とはいえ、何も知らない頃だから、完全に忘れ、実質的に安部公房と意識して読んだのは、高校一年の時に「砂の女」。なんというベタでしょうか、けれどそれっきり完全に僕は、安部公房の世界に入ってしまいました……。

 前衛作家と呼ばれ、いかにもアバンギャルドな作風と言われますが、僕はそうは思いません。むしろ、安部の書き方こそが、伝統をより意識し、言葉をより吟味し、文章をより構造化したものなのではないかと思います。もちろん、それは新しさを見出せるモノではありますが。つーか、本来は大江健三郎の前に、安部公房がノーベル賞を取るはずだったのです。悔しい。候補の直前で、亡くなってしまったので。当然、取るべきだったのですよ、功績を考えれば。

 無駄な形容の無いリアリティある表現、そして現実を恐ろしく捉えた非現実の世界観、何よりも専門家を超えるのではないかと思うほどの、詳細な知識。総てが、脱帽なのです。……圧倒的な力を感じます。村上春樹とは、全く違う次元においてのオーラ。全く違う次元での小説です。

 もちろん、どちらが良いとかそういうのはありません。比べるモノでは、ないのです。それぞれが、それぞれの最大限の文章を書いています。だから、感動するし、尊敬できる。ま、たぶんに好みによるところが大きいですが(笑)。

 安部公房は人によっては、全く受けつけないかもしれません。パッと見は固いし、複雑だし、読んだところで分からないことも多いし。けれど、はまったら完全に負けます。実際、僕も何度同じ作品を読んでいることか……それでも、まだまだ分からないことばかり。理解したそばから、疑問が沸き、新たな発見をする度に、そこに繋がる何かが見え隠れする。そんなことの繰り返しです。

 ちなみに個人的に最も好きな作品は「第四間氷期」。コレを昭和の中期に書いていたことが、逆に恐ろしいです。この作品はマジで、読んでみて欲しいですね。今のいろんなコトが、安部公房の影響を受けていることも感じると思いますし。そして「壁」。これは欠かせません。未だにつかめないところもありますが、これを読まずして安部は成り立ちません。んで「砂の女」、代表作です。単純に、息がつまりつつも面白いはず。次に最も挑戦的な作風と評価される「箱男」。絶対、最初の読みでは混乱します(笑)。何がなんだか、わからなくなるでしょう。それもまた、一興。そしてSFのかたまり、「人間そっくり」。読めば、凄さがわかります。この構成人数で、この話、ビックリします。

 短編もどれも素晴らしいものが。元々は短編を得意としていたので、当然ですが秀作ぞろいです。初期の「デンドロカカリヤ」や「盲腸」、「R62号の発明」や「鉛の卵」、「闖入者」に「棒になった男」……現代の若者が読んでも、視点や捉え方に斬新さを感じ、文章に対する真摯な姿勢を感じ取れるはずです。まだまだ、すごい量の短編がありますし―僕もまだ読めていないものが結構あります―。

 文庫とか、現行で普通に手に入るものは勿論全部読んでいるので、いい加減に全集が欲しいですね。エッセイや、評論、スピーチまであらゆる安部公房の文章がまとめてあるので……。ただ、高い(笑)。全部そろえると、新しいパソコン買えますわ。

 ちなみに、画像は「箱男」の初版本。ま、記念買いですよ。機会あらば、作品ごとに感想を書きたいのですけれどねー、先に書いたようないい加減なおススメでなく(笑)。それは春樹さんも同じですが、書きたいですね、そのうち。

 ところで、村上春樹さん、ノーベル文学賞をとりそうですね。海外での功績や実力からすれば、こちらも順当ですよね、安部がとるはずだったように。フランツ・カフカ賞の時点で、やばいんですけどね(笑)、実際。だって、憧れですよ、カフカなんて。安部公房にとっても尊敬すべき人だったし、村上春樹さんにとっても「海辺のカフカ」ってくらいですから―あれはカフカをカラスの意味で取ってますが……、ま、実際のカフカもそういう意味ですし―絶対に憧れていたはず。本望でしょうね、たとえノーベルを取れなくても。今年の年末が楽しみです。

 さてこれにて。明日は急遽、大学のガイダンスが入り、バイトをお休みすることになってしまいました。あまり、こういう直前休みってのをしないため、胸中複雑です。仕方無いことだとは思いつつも、やはり少し罪悪感。その分、いろいろ頑張ります。では。     circus

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